こんにちは、小児内分泌科医Nです
本日は低身長の診察、検査の流れについてご説明します
実際低身長で悩まれ、小児科に受診された際、どんなことをまずするのだろう?と思う方がいらっしゃると思います
ここでは私たちが診察前をどのように行っていくかがわかると思います
低身長の患者が来られた時、診察前にいろいろ聴取します
なぜかというとそれは先日ご説明した、低身長の原因がわかる可能性があるからです
低身長の原因の詳細は下記を参照していただけたら幸いです。
問診は低身長の原因がわかるため、とても重要です
実際どういうことを問診するか説明します
両親の身長、兄弟の身長
両親の身長からお子様の身長の目標が得られます
以下の式より目標身長が計算できます
目標身長:男児;(父身長+母身長+13)÷2±9㎝ (95%信頼区間)
女児;(父身長+母身長-13)÷2±8㎝(95%信頼区間)
たとえば父が170㎝、母が160㎝の男児だとします
上の式に当てはめると(170+160+13)÷2=171.5㎝となります
その±9㎝の間に約95%ひとが入ります
しかし、これは162.5cm~180.5cmの間に約95%入るということですが、すごい身長の差がありますよね!
なのであくまでも参考です
過度に期待すぎないようにお願いします
また兄弟の身長は本人と似ることがおおいため必ずお聞きします
両親の思春期の開始時期
思春期がいつ来るのかで身長がどのくらい伸びるかがわかります
思春期早発(思春期が早めにくる)、思春期遅発(思春期が遅れてくる)は遺伝することが多いのです
なので両親の思春期がいつ来たのか問診することが重要です
ちなみに思春期は男の場合精巣腫大、女性の場合乳房腫大から始まります
でも実際乳房腫大、特に精巣腫大がいつ来たのかは実際わかりませんよね!?
なのでいつから身長が伸びたのか、またいつ生理が来たのかを問診し、思春期がいつ来たのかを推測します
出生時週数、身長、体重、仮死の有無
出生時週数、体重は重要です
出生時の週数に対して、身長体重が小さかった子はそのまま身長が低い場合(SGA性低身長)があるからです
このようなお子様は成長ホルモンの適応があるため決して見逃してはいけない疾患です
また出生時仮死という重症で生まれた際は下垂体機能低下症になることがあります
下垂体機能低下症の詳細はまた後日説明しますが、ここでは簡単に説明します
成長ホルモンは下垂体という脳の中から放出されます
下垂体が低下すると成長ホルモンが放出されず、低身長となるのです
よって出生時週数、身長、体重、仮死の有無を問診することはとても重要なのです
多飲多尿、頭痛、嘔吐、
多飲多尿、頭痛、嘔吐を繰り返し、かつ低身長がある際はとても問題です
というのは脳に異常がある場合があるからです
特に途中から多飲多尿による夜尿症が発症した場合、脳の異常を疑います
具体的には脳腫瘍などです
診断としては頭部MRIを撮影しますが、これは命にかかわるため必ず問診します
便秘、下痢
便秘がある際は、食欲低下や甲状腺機能低下を疑います
甲状腺とは首にある臓器で、代謝をつかさどるホルモンです。
骨の成長に甲状腺ホルモンが関与するため、甲状腺機能低下する場合は低身長の原因となります
また下痢が続く場合、消化不良や炎症性腸疾患などを疑います
これらがあると低身長の原因となります
食事内容、睡眠、運動
食事、睡眠、運動はとても大事です
実際、低身長の原因食事不足、睡眠不足、運動不足が一番多いです
いっぱい食べて、いっぱい寝て、いっぱい運動するということは本当に大事です
これができていないとたとえ成長ホルモン投与しても伸びません
最後に
問診することで、低身長の原因がわかることがよくあります
これらのことは外来でまず聞かれると思いますのでぜひご参考になれば幸いです。
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