低身長の画像検査(左手レントゲン、頭部MRI)について

低身長

こんにちは、小児内分泌科医Nです

本日は低身長の画像検査(レントゲン、MRI)についてご説明させていただきます

手のレントゲンを撮影するのですがこれは病気を鑑別するのに大事な所見です

また頭部MRIは異常があると命にかかわることがあります

それではご説明させていただきます

左手レントゲン

左手のレントゲンでは主に2つのことが分かります

1つは骨年齢、もう一つはくる病の有無です

1、骨年齢について

骨年齢は成長と成熟の指標となります

骨年齢が実年齢より進んでいれば成熟している、骨年齢が進んでいなければ成熟していないことを意味しています

骨年齢が進むには甲状腺ホルモン(首から出る代謝のホルモン)、性ホルモン(男性ホルモン、女性ホルモン)が関与しています

下の写真を見てください

左が小児、右が成人です

全然違うことが分かります

で囲ったところ(実はほかにもありますが、、、)をみると小児、成人で骨の数が全く異なります

成長すると骨がどんどんできてくるのです

そうして黄色で囲ったところは骨と骨が分かれています

矢印でしめしているところが骨端線といい骨が伸びるところです

成人になるとこれが閉じてしまい、身長が止まります

なのでこれが閉じてしまうと何もできません

また骨年齢を求めるにはソフトを使って、各々の骨を評価し求めます

骨年齢が2歳以上促進している場合(思春期早発など)、2歳以上低下している場合(成長ホルモン分泌不全、甲状腺機能低下症など)が異常と考えます

2、くる病の診断

くる病とはビタミンDが不足することにより骨が成長しなくなる病気です

ひどくなると低身長のほかX脚、O脚など骨が変形してきます

上の写真を見てください

最初の写真と違い赤のところがコップの縁みたいにくぼんで(杯みたいになっている)います

これはくる病の典型的な所見となります

頭部MRI

低身長の原因として私たち小児内分泌科医が決して見逃してはいけないのは脳腫瘍です

脳腫瘍がある場合極端な低身長となることがあります

その鑑別として頭部MRIを行います

上が頭部MIRです

ちょうど真ん中で切っています前と書いているのが前頭部にあたります

その中心、黄色で示したのが下垂体です

これが異常に腫大していたり、圧排されていると腫瘍などが疑われ、異常と診断します

腫瘍の場合は摘出したり、放射線療法を行ったりします

腫瘍は命に関わる疾患のため低身長が著明な場合、伸び率が異常に悪い時は必ず検査を行います

しかし頭部MRIは検査するためにはうるさい音がする中、トンネルみたいなところに入って、約30分ほどかかります

小学生未満はまず検査は不可能です

なので薬(点滴や内服)を用いて検査を行います

最後に

低身長は手のレントゲン、頭部MRIを検査します

低身長の鑑別ができるため、重要な検査です

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