成長ホルモン分泌不全性低身長について

各疾患

こんにちは小児内分泌科医Nです

本日は成長ホルモン分泌不全性低身長についてご説明します

ほかのブログなどではおそらく一番書かれているものだとは思います

私の病院でも治療している患者で2番目に多い疾患です

このブログではより詳しく実際の診療も含めご説明します

成長ホルモン分泌不全性低身長とは

その名前の通りですが、成長ホルモンが出ないため身長が伸びないという疾患です

成長ホルモンは下垂体前葉というちょうど頭の真ん中にあるところから出ます

下の図は頭部MRIですが、赤で囲まれている楕円形の丸いのが下垂体になります

そのなかで左側ある白くないところが下垂体前葉といいます

成長ホルモンが出ると骨に作用し身長が伸びるのですが、成長ホルモンが出ないと骨に作用せず、身長は伸びにくくなります

特徴

当たり前ですが身長が伸びにくくなります

特に乳児を超え2歳ぐらいから身長が伸びにくくなるのが特徴です

前にも言いましたが一番大事なのは成長曲線です

当院の症例ですが下に成長曲線を提示します

縦軸が身長、体重、横軸が年齢です

上の青の点が身長、赤紫色のが体重を示しています

身長は普通線に沿って推移するのですが徐々に傾きが悪くなり、6歳でとうとう線より下になっているのがわかると思います

原因

原因としては下記のとおりです

① 特発性

特発性とは色々調べたけど原因がわからないことを言います

しかし、これが実際は一番多く約90%以上が特発性です

② 下垂体低形成、腫瘍

下垂体が圧排して小さかったりします

また腫瘍があり下垂体を圧排したり、下垂体柄が切れて、無いといった患児もいます

そうすると成長ホルモンがうまくでなくなります

③ 放射線治療後

腫瘍などで放射線を頭蓋照射すると下垂体からホルモンが出なくなります

特に成長ホルモンがでなくなりやすくなります

診断

① 成長障害があること

成長障害とはまず低身長(身長が-2SD以下=100人いたら前から2番目の背)、成長速度(身長の伸び)が低いこと

② 成長ホルモン負荷試験

成長ホルモン負荷試験で2つ以上、異常があることです

ただし頭部MRIに異常がある場合(下垂体低形成など)は負荷試験で1つ異常があることです

成長ホルモンは通常夜中に出るため、通常検査することができません

そこで行うのが成長ホルモン負荷試験です

成長ホルモン負荷試験の詳細は下記を参照していただけたら幸いです

治療

成長ホルモンが足りない疾患のため成長ホルモンを投与します

量は0.175㎎/kg/週で1週間に6日間、または7日間、皮下注射をご自宅で行います

6日間、または7日間どちらを選ばれても大丈夫です。

治療の詳細はこちらを見て頂ければ幸いです

まとめ

成長ホルモン分泌不全性低身長は成長ホルモンがでないため低身長となる疾患です

治療は成長ホルモンしかなく、逆に言えば投与すれば治療をしないよりは5-10㎝は伸びる疾患です

低身長のお子様をもつ方はぜひ小児科に受診されてください

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