新生児低血糖について

その他の内分泌疾患

こんにちは小児内分泌科医Nです

本日は新生児の低血糖についてお話します

病気については久しぶりの投稿ですね(-_-;)

それでは早速説明させていただきます

1、新生児低血糖とは

血糖とはそのままですが血の糖分のことです。

我々は消化管から糖分が吸収され体の隅々まで血液で運ばれ、各臓器の栄養源となります。

特に脳は糖しか栄養源として使用できない特徴があります

もし低血糖(血糖が低い状態)が続くと脳がダメージを及ぼし、今後の発達に悪影響を及ぼすことがあります。

また低血糖の症状としては、易刺激性、けいれん、振戦、多呼吸、無呼吸、哺乳力低下など様々でとても分かりにくい特徴があります。

2、血糖を正常に保つ機序

実際赤ちゃんがどのように血糖を保つかというと、お腹の中にいるときは、臍の緒を介して持続的に糖分が送られます。

ところが、出生に伴って胎盤・母体から急に切り離されることにより、血糖が急速に低下します。

その後、以下の過程を経て血糖が保たれます。

① 出生時ストレスがかかると体の中からグルカゴンというホルモンを分泌し、またインスリン(インスリン:血糖を下げる唯一のホルモン)というホルモンが抑制されることにより肝臓・骨格筋に蓄えられたグリコーゲンを使い糖分を作り出します

② グリコーゲンが枯渇するとステロイドや成長ホルモンなどのホルモンが働き、脂肪が分解され血糖を作り出します

③ 母乳やミルクを飲むことにより消化管から糖分が吸収され血糖が保たれます。

3、低血糖をきたす場合

低血糖は先ほどの①~③の異常が生じることで起こります

①の異常:母さんが妊娠糖尿病を呈している場合、お母さんは高血糖となります。

高血糖があると、臍の緒を伝わって糖分が移動し、赤ちゃんも高血糖となります。

そうすると赤ちゃんの体の中からインスリンがでて血糖を下げ、正常の血糖となります。

赤ちゃんはその状態で出生すると、そのインスリンがまだ体に残っているため、血糖を下げ、低血糖の原因となります。

また低出生体重児や早産でも肝臓・骨格筋に蓄えられたグリコーゲンが少ないため糖分を作り出せず低血糖となります。

②の異常:脳の下垂体というところから成長ホルモンがでますが、

脳内出血や、脳の先天的異常があった場合、成長ホルモンが出なくなり低血糖をきたすことがあります。

また新生児マススクリーニング検査でみつかる疾患の21水酸化酵素欠損症はステロイドが出ないことで低血糖となります。

③の異常:呑気症や消化管閉鎖などで母乳やミルクがうまく飲めないと血糖が低下します。

4、低血糖の治療法

治療はまずは低血糖を防ぐため点滴で糖を血液にめぐらせ、全身に運ばせます。

そのあと原因となる疾患を精査し、正常化すると点滴なしでも低血糖が起こらなくなります。

5、最後に

低血糖は様々な要因で起こり、また症状も非典型的で発見しにくいですが、低血糖が生じた際に放ってしまうと将来の発達に関係する重要な疾患です。

私たちの病院では低血糖を見逃さないよう、低出生体重などある際は血糖測定をし、低血糖がないかどうか検査を行い、赤ちゃんに健やかに育っていただけるようスタッフ一同全力で取り組んでおります。

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