SGA性低身長について

低身長

こんにちは小児内分泌科医Nです

本日はSGA性低身長についてご説明いたします

実は私の患者で実際治療している人の中で一番多い疾患はSGA性低身長です

それぐらい多い疾患なのです

実際大人の低身長の約15%はSGA性低身長といわれております

昔は治療がなかったためどうしよもできなかったのですが現在は治療があります

ここではSGA性低身長とはなんなのか、また治療はどのようなものがあるかがわかるので見て頂ければ幸いです

SGA性低身長とは

まずSGAとはsmall for gestational ageの略で在胎週数に対して小さいことを意味します

SGA低身長とは簡単に言うと生まれた週数(在胎週数)に対して、小さく生まれたらそのまま小さくなりやすいといった疾患です

正確には、SGAとは生まれた週数で身長、体重がどちらとも10%タイル以下(100人いたら前から10番目以下)の子です

SGAで出生されたお子様は将来80%は正常となりますが、逆に約20%程度2歳になっても小さいことがあります

20%に入った小さいお子様はずっとそのまま小さいことが分かっております

なのでそういったお子様は成長ホルモンを投与し、身長を伸ばしましょうといった方針となります

ちなみに特に成長ホルモンの適応は身長、体重がどちらかは-2SD以下(100人いたら前から2番目以下)を満たす必要があります

お子様がSGAかどうかは下記を参照してください

https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

資料2で出生した週数(在胎週数)を確認していただき、身長、体重がそれぞれ10%タイルのところより下か確認してください

あと少しマニアックですがガイドライン上は身長はあまり考慮しなくてもいいと書かれております

身長は出生時は巻き尺で測定することが多いのですが、実際計測の差が大きいため身長が実際と異なる可能性が高いからです

これは小児科医も知らない人が多いので注意が必要です

体重が10%タイル未満であればSGA性低身長して治療が可能な場合があるためそのようなお子様がいらっしゃったらぜひ小児科に受診してください

SGA性低身長の鑑別

SGA性低身長はまずほかの疾患が無いということが前提となります

なのでほかの疾患が無いか検査を行います

具体的に言うと成長ホルモン分泌不全性低身長は必ず否定しなくてはいけない疾患です

何故かというと、治療(成長ホルモン)の量が異なるからです

成長ホルモン分泌不全は成長ホルモンが出ないから身長が伸びないのですがSGA性低身長は成長ホルモンがでているが伸びない子なのです

よって成長ホルモンの量が違います

成長ホルモン分泌不全の量を1とすると1.3倍~2.7倍程度SGA性低身長では成長ホルモンが必要です

なので成長ホルモン分泌不全性低身長との鑑別目的で必ず成長ホルモン負荷試験を行う必要があります

SGA性低身長の検査

基本的には低身長の検査と同じです

主には血液検査、手レントゲン、成長ホルモン負荷試験を行います

具体的には下記を参照していただけたら幸いです

血液検査について

手レントゲン

成長ホルモン負荷試験

SGA性低身長の治療

治療は成長ホルモンとなります

就寝前に1週間に6回から7回投与します

1週間当たりの量は変わらず6回ならやや多めで、7回ならやや少なめで投与します

具体的な量は0.23㎎~0.47㎎/kg/週です

ここで投与量は幅が広いというのが注意点です

基本的には少量から始めます

身長伸び率が悪ければ徐々に増量していくという方針となります

基本的には増量したほうが身長の伸び率が高くなることが多いのですが、不用意に増量すると副作用がより出やすくなります

副作用は主には血糖増加が多いです

SGAで出生されたお子様は血糖が上昇しやすいといった特徴もあり、注意が必要です

なので過去1~2か月の血糖の推移を評価で評価できるHbA1cという血液検査を行い血糖が上昇しているか検討する必要があります

SGA性低身長の治療費用について

SGA性低身長は保険治療となりますが、成長ホルモンはとても高価な薬です

1本あたり保険なしで約8万円もします

3か月に1度受診をするのですが、中学生だと週に1本は使用するので3か月で約100万円、保険が2割とすると約20万円毎回かかってしまいます

子どもが無料の地域はいいのですが、子どもが医療費がかかる場合は注意が必要です

医療費がかかる方は高額医療制度を用いる必要があります

高額医療制度とはひと月で上限を超えた場合その超えた金額が支給されるといった制度です

ご両親の給料によって最高金額は異なるのですが例えば年収500万円の方だと80,100+(医療費ー267,000)×1%といった計算を行います

医療費が100万円とすると80,100+(1,000,000-267,000)×1%となり87,430円となります

また多数回(年に4回以上)の場合は上限額が下がり44,400円となります

高額医療制度の詳細は厚生労働省のをご参考ください

https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf

年収によって払う費用が異なるため詳しくは実際詳しくは市役所でお聞きください

まとめ

今回はSGA性低身長について説明しました

SGA性低身長は冒頭でも言った通り私が低身長の治療として行っている疾患で一番多い疾患です

また見逃されている可能性もよくありますので低身長の方はぜひチェックし、小児科に受診してください

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